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5.2.2 正常リンクにおけるハンドオフ方式の評価
データリンク層レベルのリンク障害を故意に挿入しない状況下で5つのハンドオフ・モードにおける発生事象についての評価を行った。ハンドオフは、地上局1から地上局2に対して行われている。
(1)ハンドオフ・モードA
これは、旧リンク側に転送したパケットをすべて新リンク側にも転送するモードである。転送タイミングは、コネクション・ハンドオフ承認直後である。最初のコネクション確立手順を除いた通信結果のシーケンス・ダイアグラムを図5−2.2−1に示す。また、この送受信記録の解析結果を付録Cに示す。
ハンドオフ承認後に、発生したイベントを以下に列記する。
?新リンク側へのパケット転送を開始。
?旧リンク側から受信した送信ウィンドウ値と同一の番号を受信したため、ウィンドウ・オーバフロー(順序番号が一周したため連続性を管理できない状態)を検出。
?ウィンドウ値(順序番号)を管理できるよう”0”に初期化するためのリセット要求パケットが転送される。
?その情報フレームを受信した航空機側データリンク層は、伝送キュー内のパケットを伝送するが地上側では、リセット状態になっているため、受領されない。
?航空機側は、サブネットワーク層の伝送キューをクリアしリセット確認パケットを転送。
?ウィンドウ値を初期化したパケットを転送。
?受信局側でユーザ・データ(7パケット分)を受信。解析の結果、このモードでは、パケットの重複が発生したことによりモジュロ8の順序性管理が不可能となったために、コネクション・リセットが発生した。(ウィンドウ管理では、順序番号によってのみパケットの制御が行われ、再送信されたものかどうかの識別は行われない。)また、リセット状態発生時に処理中のパケットは、すべて廃棄されるため、ユーザ・データが喪失されるという結果となった。

 

 

 

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